【補給と装備】SDA王滝には何が必要?~前編~
エンデュランス系マウンテンバイクレースのセルフディスカバリーアドベンチャイン王滝ですが、100kmと120kmのクラスで何が必要なのでしょうか。
まず、様々なトラブルが想定できますが、SDA王滝ではすべて自分で何とかしなくてはなりません。
楽しく走れるように、想定できるトラブルを事前に知っておき、対処方法と対策を知っておきましょう。
私は100kmで7回もパンクしたり、ハンガーノックになって痛い目にあったり、表彰台に立った事もあります。くれぐれも苦しい王滝になないようにしましょう笑笑
【心構え】
・トラブルにあった時の対応 →対処方法
・トラブルが起きないように走る →対策(走り方)
・トラブルが起きずらい機材選びをする →対策(機材的)
それぞれのトラブルに対して、以上三点を予めおさえておきましょう!!
具体的な持ち物リストについては後編で述べます。
≪パンク≫
とにかく王滝で多いのはパンクです。
上級者であってもかなりの対策をしています。
絶対に舐めないで下さい。
@対処方法
パンク修理をできるようにしてください。
さらにチューブ交換だけでなく廃材である穴の空いたチューブを使ってパッチ貼りや、持っていく携帯ポンプ、CO2カートリッジでのエア充填を実際にやってみましょう。
チューブレスなら外面修理を行うための穴を塞ぐシール材を実際に使ってみましょう。
スタンズからは大変作業が楽なダートツールという商品がございます。
シーラント(修理剤)をガスで注入できるIRCのファストリスポーンなども大変便利です。
大きくタイヤが切れてしまってタイヤ内に入っているシーラント剤が出きってしまった時に、シール材で穴を塞いでからご使用されれば良いでしょう。
チューブレスではなく、チューブドでも小さい穴なら塞いでくれますよ。
「パンク修理なんて簡単にできるよ!」
と調子に乗っていると痛い目を見ますよ!
現場での作業は大変難しいのです。
想像してください。
タイヤは泥だらけで空いた穴の位置がどこだかわからない。
手も泥水がついて手元が滑りやすくてタイヤは嵌めずらい。
シーラント剤でベタベタ。
現場での作業は泣きそうになるほど大変なんです笑
なお、修理についての詳細は、その修理キットにより使用方法が異なりますので、キットを購入される自転車店にしっかり質問されてください。
当店ではパンク修理講習会も行っておりますので、ご相談ください。
@走り方の対策
ダウンヒル区間で安全ラインを心がけてください。
岩がゴロゴロしているガレ場は特に注意して、十分スピードを落として走りましょう。
ダウンヒルが比較的速い人は特に注意して、セーブしながら『守りの走り(下り)』に徹してください。
@機材的対策
パンクしずらい丈夫なクロカンタイヤを選びましょう。
転がりが軽めのトレイルタイヤでもよいでしょう。
軽すぎないタイヤが重要です。
絶対に軽量なタイヤはダメです!
29チューブレスレディタイヤなら、1本650g以下のタイヤは危険すぎますのでそれ以上の重さのクロカンタイヤで選んでください。
攻めないタイヤとしての安全ラインとしては700g以上のタイヤが安心です。
タイヤについては以前書いたブログでもご紹介していますので、下記のリンクよりチェックしてください。
≪タイヤカット(パンク)≫
王滝のジープロードは鋭利な岩がゴロゴロしていますので、タイヤが大きく切れてしまうこともあります。
@対処方法
タイヤが切れている状態では、パンク修理ができませんので、タイヤの裏側から張り付ける補強テープがパークツールから「タイヤブート」という製品が出ていますので、こちらを使って対処しましょう。
チューブレスなら
先に述べた外面修理を行うための穴を塞ぐシール材(スタンズのダートツールなど)でも5mm未満のカットならなんとかできるかもしれませんので、やってみても良いでしょう。
当然穴が大きければ大きいほど穴が塞がって安定するまで少し時間もかかります。
タイヤの中に溜まっているシーラント剤が穴に向かって出るように、穴を下に向けてシーラント剤が外に出るように導きましょう。
そのうちタイヤ内部と外側でカサブタのように固まってくれれば、少しのエアの再充填でそのまま走れるでしょう。
ダメそうなら潔くタイヤを外して裏側からタイヤブートを貼ってチューブを入れて対応します。
タイヤブートはパッチ同様に、貼り付け面がシーラントで濡れていたり泥で汚れていると貼りずらいので、しっかり水分と汚れを取った上で貼ってくださいね。
なお、修理についての詳細は、その修理キットにより使用方法が異なりますので、キットを購入される自転車店にしっかり質問されてください。
当店ではパンク修理講習会も行っておりますので、ご相談ください。
@対策
先に述べたパンクに対しての対策と同じですね。タイヤが切れないようにタイヤを労わる走り方をして下さい。
≪チェーン切れ≫
エンデュランス系だとそこまで高負荷がかかってる状態でのシフトチェンジは少ないので、少ないトラブルだと思いますが、ご自身のバイクに今付いているチェーンのコンディション次第なところもございます。
@対策
王滝2週間前までにチェーンを交換しておきましょう。交換したら2回ほどしっかりライドしてみて問題ない事を確認してから本番に持ち込んでください。
点検の重要性>>
大会前にはしっかり点検を自転車店に依頼して消耗しているパーツはしっかり交換しておきましょうね。
やるタイミングは大会の2週間前までに済ませて下さい。
直前ではやれる事が限られるのと、自転車屋さんも忙しいのですぐに出来ない場合もあります。『2週間前に持ち込む』のではなく、完了させて下さいね。
でないと完了後の確認のための実走行の時間が取れません。
なお、ウェットコンディションでの王滝で、ダウンヒル区間でのブレーキングが多い人だと、1レースでブレーキパッドが無くなる人もいらっしゃいます。
タイヤも1レースでかなりボロボロになります。
チェーンとブレーキ周りとタイヤは特に要チェックです。
≪持ち物、装備品の紛失≫
長い時間強い振動、衝撃が加わり続けるために、サドルバッグやジャージのポケットに入れたモノやバックパックのサイドポケットに入れたモノがなくなってしまうかもしれません。
バイクに固定している携帯ポンプやサイクルコンピューターも予期せず飛んでなくなってしまうかもしれません。
@対処方法
固定は確実に行ってください!
サドルバッグは、バッグとサドルレールをタイラップで固定しておくことをお勧めします。
「そこまでする!?」と思われるかもしれませんが、たまに落ちているのを見かけますよ笑
補給食もよく落ちてます。
携帯される補給食やサドルバッグ等の装備品は念入りに「工夫して」携帯してください。
@対策
まず、固定力の高いサドルバッグや、ボトルケージを選ぶこと。
普通に走っててボトルを落とした経験がある方は、そのボトルケージは使わないほうがいいかもしれませんね。
あとジャージのポケットから物が飛び出さないように、適度に荷物はまとめておいた方がいいでしょうね。
例えば、ジャージポケットに予備チューブと携帯ポンプやco2カートリッジを入れるなら、それらをまとめて巾着袋に入れるなり、ラップやテープで束ねてから入れると落ちずらいですよね。
バックパックなどのサイドポケットは割とブカブカしてて落ちやすいので、比較的どうでも良い荷物や飲み終えたジェルのゴミを入れるスペースとして使っても良いと思います。(もちろんポイ捨てをする前提ではありませんが)
転倒された際にも持ち物が飛んで行ってしまいがちです。
慌てて再スタートする前に、持ち物が周りに飛んでしまっていないか確認してから走り出しましょう。
ちなみに、私は自転車にサドルバッグなどのバッグ類は付けません。
≪補給の枯渇と食について≫
水はチェックポイントや、その辺の沢から補充することはできますが、食べ物はたまに道に落ちてる補給食を除いては手に入りません。
@対処方法
十分な水と補給食を携帯してください。
@対策
水分はその日の天気や気温にもよりますが、僕はハイドレーションバッグにリザーバー1L&ボトル1本で分けて携帯します。(スポーツドリンクを入れています)(5時間~6時間想定)
今まで秋の王滝にしか参加していませんが、暑くてどうしようもない日はありませんでしたので、かけ水をしたことはないですかね。
しかし運動時間は長いので最低限1L以上はないとかなり辛いと思います。
僕は発汗量が極端に少ないタイプなので、少ない量で済んでいると思います。
ボトルに入っている水は、「かける」ということに使用しやすいため、傷口を洗ったり、パンク時のパッチやタイヤブート貼り付け場所の汚れを落としたりもしやすいですよ。
飲み水としてはハイドレーションの方を優先的に消費していき、最後の登り区間でハイドレーションがまだ残っていれば、ボトル側のドリンクの大半は捨ててしまってもよいでしょうね。
なお、ハイドレーションは水の残量がわかりずらいので要注意です。
だからこそ保険のボトルですね。
ハイドレーションを使い慣れていないと過剰に水を摂取されてしまう方もいます。
こまめに一口ずつの補給を心がけましょう。
走行中の振動を受けながら、長い時間運動しながら補給を摂り続ける、消化不良も起こりやすく、おなかが痛くなったり戻してしまうこともありますよ。
補給食は消化の良いジェル系をメインに固形食1割ですかね。
ミネラル系タブレットもあってもよいでしょう。
完走を目的とされていても、固形食はたくさん摂ると消化が間に合わずおなかが痛くなりますので、ジェル多めで固形は僅かにしておいた方がよいと思います。
(パワージェル(チャレンジャー)やSAVASピットインエナジージェル、ショッツ、メイタンサイクルチャージ、トップテンなど)
※ゼリー系はかさばるのと吸収が遅いのでダメです
※固形の場合補給食を専門的に作るメーカーのやつを選べばあんまり失敗はないと思います
※カロリーメイトは脂肪分も多く代表的なダメな固形食です
量は個人差がかなりありますので、いつもの運動中の補給摂取量と想定できる完走タイムと照らし合わせて、摂取量を判断してください。
燃費の悪い私でも、100kmで1200kcal分あれば十分ですかね。(5時間~6時間想定)
ジェルをフラスクボトルに移して携帯します。
フラスコボトル1本で300kcal分入る容量だとすると×3本で、バーを1本、ジェルを単独で1本、そんな感じでしょうか。それで1200kcal分となります。
スタート直前にもジェルを1本飲んでから走り出しますが、それはノーカンです。
朝食はスタート時間がとても早いですから、脂肪分が少なく消化のよい炭水化物メインの食事にしておきましょう。どれだけ遅くともスタート2時間前までに済ませておく方がよいです。
人によってはレース当日の朝食べない人もいますが、私は少量でも食べます。
運動時間が1時間半より短ければ食べなくとも保ちますが、それよりも長い運動のため、身体に蓄えられているエネルギーだけでは足りないことは明確ですから、朝抜けばその分「走りながら摂らなくてはならない量」が増えるだけですよ。
しかし、走行中の振動により内蔵にかかる負担が大きいため、気を使った食事を心がけましょう。
≪腰痛とおしりの痛み≫
ハードテール乗りの方に多いダメージが腰痛とおしり(股)の痛みです。
振動を長い時間受け続けると、腰痛持ちの方はかなりしんどいですね。
しかもいつもは痛くならない使い慣れたサドルでも、ウェットなコンディションではおしりが痛くなりやすいです。
水たまりのしぶきを上げるとおしりが濡れますし、そもそも雨が降っていたらおしりが濡れます。
一日400km以上の距離を走るブルべライダーな方ならわかっていただけると思いますが、濡れると皮膚がふやけて柔らかくなり、おしりの皮膚がづる剥けます。
その日のお風呂も痛いです笑
@対処
完走が目的なら、たまに景色の良い場所で立ち止まり、短い休憩をはさんで補給を取りつつストレッチをすることで身体をリカバリーさせてもよいでしょうね。
@対策
おしりの痛みには、股ズレ防止のシャモワクリームや、ワセリンでもよいので薄く股に塗っておくと摩擦に対して保護してくれます。専用品のシャモワクリーム的なものは雑菌の繁殖も防いでくれたりします。
ガラスの腰を持ち合わせている方は本番までにお仕事や日常生活で腰に負担がかからないように気をつけてください。
前日が車中泊の方もフルフラットになるように工夫して下さいね。
さらにハードテールを選ばずフルサスを選んだり、どうしてもハードテールならサスペンションシートポストの導入を勧めます。
かなり腰は楽になります。
当店ではKINECTやREDSHIFTのシートポストをお勧めしています。
また、ハイドレーションバッグを使わないという選択もアリです。
その方が腰にもおしりにも優しいです。
しかしその場合、水やパンク修理キットの大半をバイク側に取り付ける必要もあるので、先に述べた「持ち物と装備品の紛失」には特に気を付けてください。
腰に負担がかからないように極端にハンドルを下げているクロカン特有なセッティングにされている方は、ハンドル高さはできるだけ高くしておきましょう。
≪転倒による怪我とマシントラブル≫
転倒すれば、怪我もしますしバイクも壊れます。
@対処
怪我に対しては最低限のファーストエイドキットで対応しましょう。
私はバンドエイドは小さいサイズから大きいサイズ数枚と、消毒液があらかじめしみこんでいるコットンを2枚ほど携帯しています。
私だったら大した出血が無ければボトルの水で傷口を洗って終了ですが、出血が多いほどの傷口を作ってしまうと、運動中血が止まらなかったりしますので、せめてバンドエイドで傷口を押さえておけるようにした方がよいかと思います。
それ以上の怪我の場合は危険ですから回収車を待った方がよいと思います。
特にヘルメットにぶつけた痕跡があればしばらく休憩したうえで続行するか回収車を待つかご自身で勇気ある判断をしてください。
(回収車はかなり待ちますよ)
機材的には、ぶつけたことでパーツの固定位置がズレることはよくあるトラブルです。
サドルやハンドル、ブレーキレバーがズレていたら、携帯工具で対処しましょう。
ワイヤーが中通しのドロッパーポストがついている車両でサドルの向きが変わってしまった場合には、ポストを動かすときに引き抜かないように注意しながら向きを修正してください。内部でアウターケーブルの固定部からケーブルが外れるとその時点でドロッパーが使えなくなります。
転倒時にハンドルに強い衝撃が加わった場合に、カーボンハンドルを使っている車両はバーが折れかけていないか特に注意して確認してくださいね。
さらにブレーキホースも強い力で引っ張られてしまった可能性もありますので、ホース折れに伴うブレーキフルード漏れがないかチェックしてください。
ホース根本の部分は特に注意して確認してください。
さらにバイクが右側に倒れると変速機をぶつけてディレイラーハンガーが歪んでしまってシフトチェンジがうまく決まらなくなりますし、ひどいとホイールに変速機が巻き込まれて走行不能に陥ります。
変速機をぶつけたら、まずは止まっている状態でローギアまで変速してみて変速機がホイールに接触しないか確認しましょう。
接触しなくとも少しでも曲がっていると、変速が一段一段決まりずらい状況になります。
予め予備のハンガーを持っていれば交換対応可能です。
大きな物ではないので、持っておいても邪魔にはならないはずですが、交換にはそれなりに技術が必要です。
走行に支障が無いほどの僅かな歪みなら、そのまま走行し続けるという判断もありかと思いますが、ローギアは極力使用しないように特に注意して下さいね。
@対策
転ばないように走ってください。
ダウンヒルに不安があれば、フロントタイヤだけでも転がり抵抗を犠牲にしてグリップを優先したトレイルタイヤを選んでおいた方がよいでしょう。
クロカンバイクの場合はドロッパーポストをつけていない車両も多くありますが、ドロッパーを付けるだけでもダウンヒルの安全マージンを高められます。
ハンドルポジションも低くする必要もありませんから、現在自身で乗っているバイクのステム固定位置も一番ハンドル高さを高くなるようなセッティングにしておいてもよいでしょう。
クロカン特有な低いハンドルポジションが有効といえるような急斜度の坂はありませんし、長い下りで休めるハンドルポジションの方が後半にかけて体力を温存できます。
ちなみにハイドレーションバッグなどのバックパックを背負っていると、転倒時に背中を守っていくれますので、脊髄プロテクターとしても役立ちます。
≪目への泥の侵入≫
コンタクトレンズを使用している方は特に注意してください。
ウェットコンディションでは泥や水しぶきがあがり、目に泥が入ってしまうかもしれません。
私もコンタクトを使用しておりますが、もし外さなくてはならない状況になったら、その先かなりヤバいことになるのは言うまでもありません。
@対処
ボトルの水で目を洗いましょう
手で擦らない方がよいです。
@対策
予備のコンタクトを持っていれば何とかなるかと思います。
鏡を見なくともコンタクトを入れられるようにしておきましょう。
2weekタイプや、使い捨てではないコンタクトなら、保存液をケースに入れて持っておけば泥で汚れたコンタクトを洗えますよ。
コンタクトユーザーでサングラスもせずに走っている人はいないと思いますが、必ずサングラスで目に泥が入らないようにしてくださいね。
サングラスについて>>
余談ですが、
オフロードにおいてはサングラスのレンズ色はクリアが基本です。
クリアを選べば間違いなしです。
コントラストを高めるために薄めの赤、ピンク系でもよいと思います。
日向では眩しいですが、森の中はとても暗いですから、可視光透過率は40%の数値を下回るほど暗く見えるレンズは特に避けた方がよいです。
では、長くなってしまったので、後編で具体的な持ち物をまとめますね。
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